メガバンクで生成AIの利用基盤を構築。課題は「因数分解」して解決へ

金融第一システム事業部 金融システム第一本部 第二部に所属する齊藤。現在、メガバンクの行員向けに生成AI利用基盤を構築するプロジェクトで、かじ取りを担っています。

「行員の方々がお客さまに送るメールの文章や、お客さまへの提案内容のたたき台などを作成するために、AIを活用するという想定です。私はお客さまと話し合ってアーキテクチャーを固めた上で具体的な構築計画を作成し、当社メンバーや協力会社にタスクを割り振って、システムをリリースするまでプロジェクト全体をコントロールしていきます。お客さま側を含めると20人ほどが関わっていて、私はPMとして7人のメンバーを束ねています。

大事にしているのは、技術者視点に偏らず、お客さまのミッションや立場を理解することですね。お客さまにとってどういう状況になればうれしいのかを常に考え、最適な解決策を提供するよう心がけています」

生成AIという最新の技術を扱う仕事ゆえの難しさもあると語ります。

「世に出てきてまだ間もない技術なので、どう業務に生かすべきかを具体的に想定しにくいとおっしゃるお客さまもいます。そんな時、私は『課題の因数分解』を進めるようにしています。お客さまが持っている大きな課題を把握した上で、達成可能な小さい課題に分解していき、ひとつずつ段階的に解決していくイメージです。前職のコンサルティングファーム時代の経験が生きているのかもしれません」

一方で、業務を円滑に進めるためには「働く環境」も重要です。齊藤は、裁量労働制や週3日のリモートワークといった今の働き方に満足していると言います。

「お客さまとの会議に出席するなどの定められた時間以外は、通院などのプライベートな用事を織り交ぜつつ柔軟に仕事を進めることができるのが、裁量労働制のうれしい点ですね。またリモートワークの際には、チャットを使って同僚らに報告や相談をしつつ、落ち着いた環境で仕事に集中できています」

候補者の人間性を深く見る採用面接。社風に惹かれ、日立への入社を決断

大学院では液晶の新しい応用方法について研究していたという齊藤。しかし、その後のキャリアはITの方向に進んでいきます。

「大学院の担当教授に推薦されたのをきっかけに、新卒でメーカー系SIerに入社しました。営業とSEの中間のような仕事に携わる中で、AWSというクラウドサービスに出会い、クラウドを使ってお客さまに提案し続けたいと思うようになったんです。3年半の勤務を経て、その仕事のチャンスが多そうなコンサルティングファームに転職しました」

2社目では望んだ通り、プロジェクトマネジメントオフィス（以下、PMO）としてクラウドを使う案件に関わった一方で、「ITの知識をさらに深めたい」という想いが芽生えてきたと言います。

「私は1社目から、プロジェクトマネジメントの経験しかありませんでした。なので、実際に手を動かす下流部分の理解が足りなくて、現場のエンジニアとの会話がうまくかみ合わないこともあったんです。下流を学びながら、これまでの経験も生かせる場はないだろうかと考えて転職先を探し始めたところ、日立の求人を見つけました。

日立の採用面接に臨んだ時には、会社としての雰囲気にとても惹かれましたね。今の上長が対応してくれたのですが、私の経験や持っている資格を確認するだけではなく、人間性を深く見てくれているようでした。社員の人柄を重視する会社なら、きっと良い人たちに囲まれて働くことができて、自分自身の仕事のパフォーマンスもいっそう上げられるのではないかと思ったんです」

実際に入社した後はギャップを感じることなく、想像した通りの環境で過ごせていると語ります。

「人と人との信頼で成り立っている会社だと、あらためて感じていますね。私のようにキャリア採用で入社して間もない社員に対しても、上司はきちんと話に耳を傾け、どういう人間なのかを理解した上で大きな仕事を託してくれます。日立の社風に触れ、入社の決断は間違っていなかったと実感しています」

若くしてPMを託され奮闘。必要なのは「責任を持って決断を下す覚悟」

日立で働き始めて1年。齊藤は、技術面で自らの成長を実感していると話します。

「入社当初、クラウドでもAWSの知識しかない中、Azureを使うことになって困りました。そこで助けてくれたのがChat GPTです。分からないことがあればChat GPTでいったん答えを出力し、Azureのホームページなどで確認するという作業を重ねて切り抜けてきました。今では自信を持って知識を話すことができ、お客さまから頼られるようになって、やりがいを感じています」

若くしてマネジメントという新たなチャレンジもしている齊藤。

「前職ではPMOとしてプロジェクトの進捗管理など事務作業に近い仕事をしていましたが、今はお客さまから任されているタスクの責任者としてメンバーをまとめています。

マネジメントを始めた当初、実は業務が滞りがちでした。私がすべての方向性やスケジュールを考え、システムの設計もしていたので、チームメンバーは不明点があれば私に聞くしかなく、私のところでタスクが止まっていたからです。そこから、メンバーに責任と裁量をある程度与えようと転換したことで、業務が少しずつスムーズに進み始めました」

苦境を乗り越えた今、「経験不足の状況からいかに速やかに追い上げ、リーダーとして振る舞うかが大事」とうなずきます。

「そのために必要なのは、責任を持って決断を下す覚悟だと思います。Azureに関して十分な知識がなく、マネジメントが手探りの状態であっても、お客さまから与えられた課題を解決する最終責任者は自分です。その重みを十分に理解した上で、日々自らを磨いていきたいと考えています」

転職を経験してきた齊藤は、日立ならではの働きがいをこのように感じています。

「世界的に名が知られている企業であり、生成AIのような最先端のプロジェクトに大きな規模で関わることができる点が、何よりの魅力だと感じています。先進的な案件に挑戦できる機会が次々と舞い込み、そのたびに意欲を持って自分のスキルを注ぎ込む。それは、日立に入社しなければ得られない経験だと実感しています」

こだわりを持たずにお客さまの中の正解を探すことが、私のこだわり

齊藤が仕事を進める上で大切にしているのは、「郷に入れば郷に従え」という考え方だと言います。

「どんな状況であっても自分のこだわりを持ちすぎることなく、柔軟に対応するよう心がけています。自分の勤務先やお客さまが変われば、求められる価値観や正解も変わるからです。そういう意味では、こだわりを持たずにお客さまの中の正解を探し求めていくことが私のこだわり、と言えるのかもしれません」

自分なりのやり方で、お客さまの満足度を高めようとしている齊藤。今後のキャリアパスについては、明確なビジョンを持っています。

「引き続き、マネジメントに携わっていきたいと考えています。ゆくゆくはマネージャーとして複数のプロジェクトを統括し、やりとりする社内外の関係者や部下を増やしていくことで、より大きな仕事を成し遂げていきたいですね」

日立への入社を考えている人たちに向けて、齊藤はこんなメッセージを送ります。

「資格取得などの自己研鑽に積極的な人には、よりチャンスや裁量が与えられる環境です。私も、Azure認定資格やプロジェクトマネジメントの国際資格の勉強を通じて自らのスキルを磨き、今のプロジェクトを責任者として推進してきました。

インフラもあり、アプリもありのIT業界。日立では、幅広い知識や多角的な視点を持ったゼネラリストが求められているように感じます。私自身も入社後、インフラにこだわらずにさまざまな業務に関わることによって、視野を広げることができました。今後も当社にジョインする皆さんとともに、柔軟な発想を大切にしながら成功の可能性を探っていきたいと思います」

マネジメントに対する覚悟を胸に秘めつつ、齊藤はこれからもしなやかな姿勢で社内外に新風を吹き込んでいきます。

※ 記載内容は2024年8月時点のものです