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BUSINESS 2023.01.31

日立だからできること──電力の安定供給に向けたシステム開発にIT×OTで挑む

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日本国内の電力の安定供給を担うべく2015年に「電力広域的運営推進機関」が発足しました。株式会社日立製作所(以下、日立)は、同機関の業務を支える「広域機関システム」を提供しています。システム開発に携わった電力系統ソリューション部部長の奈加 健次が開発の苦労と、プロジェクトを通じた日立の成長を語ります。


この記事の目次

広域機関システムの開発に挑んだ歴史的背景

東日本大震災を契機に表出した日本の電力供給に関する諸問題を解消すべく、国が推し進めてきた電力システム改革。その第一段階として、電気小売業への参入の全面自由化を前に2015年4月に発足したのが、電力広域的運営推進機関(以下、広域機関)でした。

広域機関は、電源の広域的な運用に必要な送配電網の整備を進めるとともに、各電気事業者における需給状況の監視や、需給状況が悪化した一般送配電事業者に対して、ほかの一般送配電事業者による電力の供給指示などを行います。これら広域機関の基幹業務に用いられているのが、日立が提供する「広域機関システム」です。

奈加 「電力を安く・安定供給することは、社会・経済活動の発展に大きく貢献するものです。日本はこれを実現するために『電力システム改革』を掲げ、その第一段として2015年に広域機関を創設しました。日立は、この広域機関の業務を支える『広域機関システム』の開発を受注し、さまざまな課題を乗り越えて安定稼働を迎えています。

電力システム改革は、2020年4月1日で主たる3つの改革を完遂しましたが、第6次エネルギー基本計画に基づく脱炭素やさらなる電力安定供給に向けた取り組みが始まっています」

広域機関システムが提供できたのは「日立だからこそ」と奈加は語ります。

奈加 「日立は1910年代に発電用モーターの制御装置や配電盤の製造を開始し、その後は『発電制御システム』、発電所から変電所~配電所~消費者へと続く電力の流れを監視・制御する『系統制御システム』の提供など、事業領域を広げてきました。こうした歴史を通じて、電力をシステムで監視・制御する技術を蓄積してきました。ここで磨いてきたのは設備や機器など物理的なものを動かす技術=OT(Operational Technology)です。

一方で、日立は金融、公共、産業などさまざまな業種におけるシステムインテグレーターとしての事業領域も広げてきました。これは情報を処理する技術=IT(Information Technology)です。広域機関システムはOTとITの両方の技術が要求されるシステムであり、この2つの技術を磨いてきた日立でなければ完成させることは不可能だったと考えます」

ITとOTの融合──成功の鍵はプロの結集とアジャイル開発

広域機関システムの開発は、日立の英知を注ぎ込んで臨んだプロジェクトだったと振り返ります。

奈加 「IT分野で培った経験を買われ、広域機関システムの開発にプロジェクトマネージャーとして参加しました。本プロジェクトへの参画以前は、原子力発電所の保全業務などを管理するシステムを中心として手掛けた経験があります。

広域機関システムは計画値同時同量制度のもと、日本全国の事業者から大量の計画を受け付けて処理するとともに、各電力供給エリアの需給状況をリアルタイムで監視・制御する機能を有しています。これら広域機関システムが具備する機能を開発するにはOTだけでなく、ITが必要不可欠だったのです。

OTとITの掛け合わせによってクリアできた技術的な課題はいくつもあります。例えば北海道と本州を結ぶ直流連系設備では、運転上の制約を考慮した潮流計算や運転モードの切替えが必要となります。従来は人間が長年蓄積してきた勘と経験でこれらを導き出し、運用していました。広域機関システムでこれを機能実装することになりましたが、システム化するとなると26の48乗という膨大なパターンを計算によって算出する必要があり、通常のロジックでその答えを導出するには現実的ではありません。

この課題に対し、ITの知見から独自のアルゴリズムを設計し、高速演算を可能にしました。計算に必要となる各種機器のパラメータの取得にはOTの知見を生かしています」

当該機能の開発ではイテレーティブな(繰り返し型の)開発プロセスである「アジャイル開発」の手法を取り入れたと言います。

奈加 「当該機能のように、前例がない複雑な処理を正確に机上だけで設計することは困難です。そこでアジャイル開発の手法を活用し、ソフトウェアとして動作検証を繰り返しながら完成度を上げていきました。

結果的にはこのアプローチは非常に効果的で、品質・納期ともに達成することができました。広域機関システムのように大規模な国のシステム開発で、アジャイル開発を取り入れた事例は少ないでしょう。広域機関システムは2023年1月現在も追加開発を続けていますが、要所・要所でアジャイル開発を取り入れることが、プロジェクトを前に進める鍵となっています」

さまざまな課題に直面した奈加は、日立の総合力が広域機関システムを実現したもっとも大きなファクターだったと語ります。

奈加 「プロジェクトには、約1,000人にもおよぶ人財が集まりました。研究所、ソフトウェア開発部門やIT部門、制御機器の開発部門など日立のあらゆる分野のプロフェッショナルが一丸となり知恵を出し合ったんです。あれほどのプロジェクトはもうないかもしれないと、当時一緒に働いた人とよく振り返ります」

広域機関システムの経験が花開くさらなる挑戦

広域機関システムは、国が進める電力システム改革の第一段階に過ぎません。

国は電力の小売全面自由化に引き続いて、電力需給のバランスを維持したり周波数制御を行ったりするのに欠かせない「調整力」を取引する「需給調整市場」や、将来の電力供給力を取引する「容量市場」などを創設することで、再生可能エネルギーの導入を促進したり、エネルギーを安定供給する仕組みを向上させようとしています。

日立は広域システム開発の経験をもとに、「需給調整市場システム」の開発を受注しました。

奈加 「需給調整市場システムの開発では、後に日立の子会社となった海外ベンダーのパッケージを活用することで、納期を短縮することに成功しました。

一方、海外と日本とでは認識の違いが存在します。品質を担保する上で、要件定義や基本設計を日立で請け負うだけでなく、海外ベンダーと協働する上での開発プロセスを見直したんです。今後、グローバル展開を進めるにあたって最適なプロセスを作ることができました」

また、2021年には「容量市場向けシステム」の開発も受注しました。

広域機関システムの開発を皮切りにした一連の開発プロジェクトは、参加したメンバーや組織にも変化をもたらしたと言います。

奈加 「従来は情報や制御あるいは電気など、それぞれに特化した専門家が集うチームだったのですが、これらの知識を持ち合わせていることは当たり前で、プラスアルファの専門分野を持った人財が増えてきたという印象があります。技術者としての当たり前が変わりつつあるんです。

プロジェクトマネージャーの私は本来トップダウンでものごとを決めるものですが、むしろ多様な意見をどう集約し整理するかという課題に直面しています(笑)。最近では、こうした状態に楽しさを感じるようにもなりました」

さらに、これまでのプロジェクトを通じて社内の研究所などとの横のパイプが強くなったおかげで、新しい課題に対して、不足している知識を現場レベルで速やかに吸収していく組織力がついてきました。

IT×OTの知見が1つに。日立の英知を結集した現場だからこそ得られる経験がある

電力システムの提供を通じて日立がめざす未来は、国の指針と一致しています。再生可能エネルギーの普及を促進することによる脱炭素と、エネルギーの安全保障を実現すること。そして次世代電力ネットワークの構築です。これらを根本的に支えていくというビジョンは、広域機関システムの受注以後ぶれることはありません。

奈加 「組織としてこの分野への知見を蓄積してきたことで、日本の電力システム改革に貢献していこうという機運はますます高まり、プロジェクトにも幅広さが生まれてきました。これからは、電力システムのDXによって家庭が負担する電気代をいかに下げるかという、より消費者の生活に直結する課題に取り組もうとしています。一層の働きがいを感じていますね」

まだまだ先の長い、数十年におよぶ改革計画に持続的に貢献していくため、奈加が何より大事だと考えるのは後継者の存在です。

奈加 「日立には、修士課程や博士課程に進んでも得られないような経験をしてきた現場畑の社員が大勢います。組織的に人財を育成する環境があるんです。加えて日立にはあきらめない文化がある。最後までやり遂げるという経験は、技術者の成長に欠かせないものです。

グローバルというさらに大きな市場への本格参入もめざしている今、挑戦の機会も増えていくでしょう。キャリアアップだけでなく、スキルアップをめざす方にぜひ参画してもらいたいたいですね」

広域機関システムから始まった挑戦は、日立が培ってきたITの知見とOTの知見を1つに統合する試みでもありました。日立の英知が注がれた現場で、これからの日立と社会インフラを担う人財が育ちつつあります。

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