学生時代は、ビジネスを通して途上国の経済発展に貢献したいと考えていた三根なつこ。海外、とくにアフリカでの活躍を夢見て入社した自動車メーカーでITの仕事に出会い、その楽しさに目覚めます。そんな彼女はなぜ株式会社日立製作所(以下、日立)で働くことを選んだのか。仕事観とともにそのキャリアを紐解きます。
アフリカで働く夢から一転、ITの楽しさに目覚めて日立へ
カトリック系の学校に通っていた10代のころから、国際協力やNGOの活動を見聞きする機会が多く、とくに最後のフロンティアと呼ばれるアフリカに興味を持ったという三根。「日本人としてアフリカの経済発展に協力したい。それもボランティアではなくWin-Winの関係が築けるビジネスで」という夢を抱き、大学時代はフランスへ留学。就職先として選んだのは、自動車メーカーでした。
三根 「あるビジネス誌で、そのメーカーの社員がアフリカ各地を渡り歩いて船外機を販売している記事を読んだんです。『この人みたいな仕事がしたい!』と思って入社したのですが、当時は社会情勢的に現地で女性が営業をするのは難しいと判断され、アフリカ勤務は断念せざるを得ませんでした」
海外勤務ができる企業への転職も考えた三根でしたが、せっかく入った会社で専門性を磨きたいと、エンジニアの仕事に挑戦することを決意します。
三根 「大学では国際経済を専攻していた文系出身なのですが、もともと数学は好きでした。だから最初にコーディングを学んだときは、はっきり答えが出るところに楽しさを感じましたね。新しいことを学ぶのも好きなので、やればやるほど成長している実感がありました。ただ、単語ひとつとっても知らないことばかりだったので、『2カ月後には理解できるようになっている!』と自分に言い聞かせながら勉強していました」
自動車メーカーで3年間、社内システムの開発に携わった三根。想定外のキャリアだったにも関わらず、ITエンジニアという仕事の楽しさに気づき、さらに上をめざしたいと思うようになります。
三根 「スキルを身につけ、できることが増えてくると、社内システムだけでなくもっと深くITを学びたくなりました。それなら若いうちにSI企業で経験を積み、技術を修得したほうが良いんじゃないかと思ったんです」
転職する上で三根が重視したのは、ITを学べる環境があり、エンジニアとして成長できるかどうか。その中でも日立を選んだ理由を、こう語ります。
三根 「日立はIT関連の教育制度が充実している点はもちろん、事業領域が広いところが魅力でした。転職当時は『ITが楽しいからSEとしてスキルアップしたい』と漠然と思っていて、とくにこの領域に関わりたいという明確な目標がありませんでした。だから、いろんな選択肢がある日立に惹かれたんです。
また、人事の方がすごく採用に熱心で、会社の理念である“損得より善悪”や“和・誠・開拓者精神”の話を聞いたことも大きかったですね。私自身もその考えに共感しましたし、人間としての本質を大切にする良い会社だなと感じ、入社を決めました」
短期間でリリースが繰り返されるWebアプリ開発に携わり、成長を実感
2018年に日立へ入社すると、エネルギー・通信・交通の3分野を担う社会システム事業部の配属となった三根。最初に参加したのは、通信事業者におけるBtoC向けWebアプリの開発プロジェクトでした。
三根 「マイページ機能やエンドユーザからの加入申込み受付けに関わるシステム開発で、月々の料金や契約情報などを提示するインターフェイスから、背後で動くシステムまで全般を担当しました」
ここで三根は、前職との大きな違いを経験します。
三根 「前職は社内SEだったので、要件定義から開発、コーディング、テストまですべての工程に携わっていましたが、この案件では私は手を動かさず、プロジェクト管理やお客さまとの折衝を行うフロントSEという立場でした。自分が動くというより、メンバーに動いてもらうために、プロジェクト全体を俯瞰して見る必要があり、最初は難しく感じました」
さらに、四半期に一度という短期間でリリースが繰り返されるという開発サイクルを初めて経験。その都度要件を理解し、問題がないかをレビューするという業務に苦労した一方で、着実に実力がついたと言います。
三根 「参加メンバーも多かったので、他の社員からさまざまな意見を聞き、毎日何かしら新しい情報やスキルを吸収できました。
カスタマーが一般消費者、という経験も初めてだったので、不具合があった場合はこれまで自分が培ってきたスキルを一気にアウトプットして対応する、という状況。実際に対処しているときはかなり大変でしたが、リリースのたびに自分の成長を実感できたプロジェクトです」
スペシャリストたちとともにプロジェクトを進めることが、さらなる成長につながる
Webアプリの開発では、フロントSEとして活躍した三根。その後、インフラやセキュリティ領域にも挑戦したいと自ら希望し、通信事業者のネットワークセキュリティ案件に参加します。
三根 「コロナ禍により在宅勤務など外部で仕事をすることが増えたため、セキュリティや回線の課題を改善する必要性が高まったことでスタートしたプロジェクトです。20カ国におよぶ海外拠点のセキュリティを、現行のものからより安全なネットワークセキュリティに切り替えるのが目的でした」
このプロジェクトでは、まず海外拠点とのコミュニケーションの難しさを知ったと言う三根。
三根 「各国特有の事情があるので、ベースは同じでもカスタマイズが必要になります。時差の関係でコミュニケーションが取りづらい中、相手に分かりやすく伝えるのは苦労しましたね。認識の齟齬を起こさないために、できるだけ簡潔かつ的確に伝える必要があるので、例えば文字だけではなく、図で表せるところは図版を多用するなどの工夫をしました」
また、ネットワークセキュリティを実現するために、セキュリティの専門部隊と関わったことも大いに勉強になったと言います。
三根 「このプロジェクトは、所属している課ではなく、セキュリティの専門部隊の中に私が入る形で進めました。相対する人がスペシャリストばかりなので、最初はITを始めたころと同じように単語も分からない状態でした(笑)。ただ、同じ社員同士なのでざっくばらんに教えてもらうことができたおかげでセキュリティの知見が身につき、技術的な指摘ができるまでに成長できました。
こうしたスペシャリストたちと同じ立場で、協力して仕事を進めていけるのも、日立で働く大きな魅力だと感じています」
めざすのは、どんな案件も安心して任せてもらえるようなゼネラリスト
2つのプロジェクトを経験し、SEとして着実に成長してきた三根。日立でシステム開発に携わる魅力をこう語ります。
三根 「一つひとつの案件の規模が大きい上に、幅広い業界や技術に関われることが、日立で働く魅力のひとつ。私は通信系の案件を担当していますが、隣の部署では電力や交通インフラ系の企業を担当しているほか、社会が回っていく上で欠かせない業界に携われます。
また、私は基本的にフロントSEという立場でお客さまの窓口的な仕事をしていますが、ネットワークセキュリティのプロジェクトのように、技術に特化した専門の部門も数多くあります。ゼネラリストとしてもスペシャリストとしても活躍できる場所があるのは、SEとして素晴らしい環境だと思いますね」
一方で、この優れた環境で自分を磨くためには、自ら主張し、主体的に動くことが重要だと言います。
三根 「いろいろチャレンジができる環境があるからこそ、自分にフィットしづらいケースも出てくるのではないかと思っています。経験者採用の場合、それぞれ想いを抱いて転職するわけですから、想定と違う場合は、しっかり意見を言うことが大切。日立には社内公募制など、手を挙げれば動ける環境があるし、これだけ幅広い業界や職種があるので、自分のやりたいことにきっと出会えるはずです」
そんな三根が今後めざすのは、ITスキルのさらなる向上です。
三根 「『ITスキルをもっと上げたい』という想いがあって日立に入社しましたが、それは正解だったと実感しています。さまざまなプロジェクトに参加したり、スペシャリストと一緒に仕事をしたりしていくことで、確実な成長ができるからです。
今後数年はインフラ系などテクニカルな部分にもチャレンジし、自分のインプットをどんどん増やしたいですね。そして将来的には、どんなプロジェクトでもこなせる人財になるのが目標。特定分野に精通しているというより、さまざまな分野の経験があるから安心感があると思ってもらえるような人財をめざします」
学生時代に抱いていた「アフリカの経済発展に貢献したい」という想い以上に、今はITスキルを磨くことに楽しさを感じているという三根。日立という成長環境に身を置き、理想のキャリアの実現に向けて挑戦を続けます。