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BUSINESS 2025.01.24

豊富な人財と培ってきた技術力が強み。自律型水中ドローンを大きなビジネスの柱に

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2020年に株式会社日立製作所(以下、日立)にキャリア入社した小谷野 弘之。現在、ディフェンスシステム事業部で水中ドローン開発プロジェクトに携わっています。「最先端の技術に触れながら、規模の大きな事業に挑戦できることがおもしろい」と話す小谷野が感じるプロジェクトの醍醐味とは。


この記事の目次

水中ドローンに付加価値を加え、防衛分野の効率・安全性の向上に貢献

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防衛・航空宇宙・セキュリティ分野を支える技術を核に、人々が安心して暮らせる社会の実現に貢献するディフェンスシステム事業部。小谷野が所属する装備システム本部では、防衛分野を中心に、中央省庁向けにハードウェアやそれに付随するソフトウェアなどを開発しています。

小谷野が現在PL(プロジェクトリーダー)を務めるのは、水中ドローンの自律航行支援システム開発プロジェクトです。

「このプロジェクトのミッションは大きく二つ。一つは、無人化、省人化によるお客さまの運用効率化です。日本周辺の情勢において緊張感が高まっている一方で、防衛分野においても人材不足という課題があります。その中で安全保障を強化するために、無人化、省人化のニーズが大きくなっているのです。

もう一つは、安全性の向上です。水中を自律的に航走するドローンを活用すれば、人が危険な場所に立ち入ることなく調査や作業を行うことが可能です」

このプロジェクトでは、海外メーカーのドローンをベースに、日立独自のシステムインテグレーションにより付加価値を高めています。そのため、設計メンバーを中心に、関係する社内の各部門はもちろん、グループ会社も含めて多くの人が関与する事業規模の大きさが魅力だと語ります。

「私はほぼすべての領域を見ながら、技術的な側面はもちろん、中央省庁や海外メーカーとのやりとりも行います。国の機関と協働し、海外メーカーともタッグを組んだ大規模なプロジェクトに関わることにやりがいを感じています。

また、AIによる制御や水中通信など、最新の技術に幅広くかつ深く関われることもおもしろいですね。技術者としての成長と同時に、ビジネスの観点からも多くを学べる環境だと感じています」

新しい領域で初めての挑戦。相手の背景を理解しながら丁寧に関係を築く

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防衛分野において、ソーナーシステムや自律制御、水中通信装置などの技術を開発してきた日立。今回のプロジェクトは、日立の培ってきた技術力と社会背景が交わったことでスタートしました。

「先ほど話したように、防衛分野において無人化、省人化のニーズが高まっていること、そして他分野でドローンの実用化が進んでいること。そういった背景に、これまで日立が開発してきた要素技術を加えてドローン本体のプラットフォーム開発に参入すれば、より付加価値の高いシステムを提供できると考えたのです」

小谷野は、プロジェクトの立ち上げから携わってきました。準備期間は、およそ1年。

「ある程度の英語力が求められるプロジェクトだったため、そのスキルを認められて企画段階から関わっています。海外メーカーとの最初の打ち合わせにも参加しました。

その後、ビジネスモデルの構築、中央省庁とのやりとり、将来の事業展開の検討、具体的なプロジェクトの開発規模やコストの見積りなど、準備のためのほぼすべての業務に携わりました」

日立にとって新しい領域への挑戦であると同時に、小谷野自身、プロジェクトの初期段階から関わる経験は初めて。当然ながら、多くの苦労もありました。

「海外メーカーと新しく取引を始めるための契約交渉がとくに大変でした。何ページにもわたる英語の契約書を一項目ずつ確認し、社内の関連部門と連携しながら懸念点を一つずつクリアにしていく作業は非常に難しかったですね。

お互いに認識のズレが起きないよう、相手の背景や意図を十分に理解した上で、譲れる点と譲れない点を見極めながら丁寧に交渉を進めることを心がけました。

初めて挑戦することが多く、苦労もありましたが、契約交渉を通じて会社間のビジネスの仕組みをあらためて学ぶことができ、とても勉強になりました」

複合的な技術が必要だからこそ、日立の豊富な人財が何よりの強み

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水中ドローンの開発において、最大の課題は通信。空や陸で使うドローンと異なり通常の電波が使えないため、リアルタイムでの状況把握や指示が難しいと言います。この課題を乗り越えるため、二つのアプローチをしています。

「一つは自律化です。通信や監視がなくてもAIなどを使って自律的に動作できるシステムを作ることが必要です。

もう一つは水中通信技術の開発。水中では主に音響通信を使いますが、海面などの反射により遅延が起こるマルチパスや、音波の発生源であるドローンが移動することで周波数が変化してしまうドップラーシフトなどの影響があり、技術的に難しい領域なんです」

前職では、大手総合電機メーカーで光通信装置の開発に従事していた小谷野。通信装置のハードウェア構成など共通する部分はあるものの、水中ならではの課題については新たに知識をつけながら対応する必要があると話します。

それでも、日立にはこれを乗り越える強みがあると続けます。

「日立の最大の強みは人財です。電気、ソフトウェアや構造などさまざまな分野のエンジニアが揃っていますし、最先端の研究を行っている複数の研究開発拠点があるため、研究所への支援依頼も可能です。水中ドローンのような複合的な技術が必要なプロジェクトでは、各分野のスペシャリストの存在が大きな力になります」

他にも、充実した研修制度や技術力を生かした社内ツールも新たな挑戦を支える要素です。

「私自身、このプロジェクトに携わる前に、リーダーシップ研修とソフトウェアに関する技術研修に1年間参加しました。この研修でソフトウェアのリスキリングができたことは、今回のプロジェクトにおいても役立っています。

社内のセキュアな環境で生成AIを使ったツールがあることもありがたかったです。例えば、専門用語のある英語の契約書をチェックする際にも、翻訳が効率良くできるのでコミュニケーションがとりやすかったですね。

防衛分野は専門用語が多いのですが、部門として用語集の作成に取り組むなどフォロー体制もありますし、段階的に裁量の大きい業務に移行できるような仕組みができているなど、キャリア採用で入社した方も情報をキャッチアップしながら業務に取り組める環境が整備されていると感じます」

培ってきた技術を統合し、新たな価値を創造しながらお客さまに貢献したい

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このプロジェクトを通じて、小谷野自身も成長を実感していると話します。

「これまでは一人のエンジニアとして、与えられた予算や体制という枠組みの中でベストを尽くしてきました。けれど今回、その枠組み自体を作る経験をしたことで、プロジェクトを俯瞰的に見ることができるようになりましたし、マネジメント領域にも踏み込めたことで、大きな手応えを感じています。開発の前段階でのリスク対策などの各種検討の重要性を実感できたことも勉強になりました」

中でも防衛分野の開発に関しては、自分の力量を思う存分発揮できることが醍醐味だと言います。

「意外に思われるかもしれませんが、海外メーカーとタッグを組むグローバルな開発案件が多くあります。大規模なプロジェクトに挑戦したい人にとって魅力的な職場だと思います。

また、開発のスパンが長いことも特徴です。長期的な目線で、いつ何をしてリスクを低減するかなど、マネージャーの力量が問われるため、マネジメントとしてのやりがいが大きいことも魅力です」

自身が成長の手応えを感じているからこそ、これから入社する人たちにも日立の環境を生かしたチャレンジをしてほしいと語ります。

「挑戦の機会が多いことが日立の魅力。年齢や経験に関係なく、論理的に説得力のあるビジネスモデルや将来展望を示せば、挑戦をサポートしてくれます。

また、働き方の自由度も高く、状況に合わせて在宅勤務を利用したり、子どもの送り迎えのために出社時間を調整したりできます。オンラインとオフラインのコミュニケーションをバランス良く取りながら、各自が自立して業務を進められる環境があることも働きやすさの理由です」

これからのプロジェクトの展開については、自身のキャリアも見据えながらこう語ります。

「日立が培ってきた強みとする技術を統合し、より高度な自律制御や安定した通信ネットワークを持つ水中ドローンのプラットフォームを構築することをめざします。新たな価値を創造し、お客さまに貢献することで、水中ドローンを大きなビジネスの柱の一つにしていきたいと考えています。

私自身は、このプロジェクトを通じてさらにマネジメントスキルを身につけ、将来的には次の新しい事業やプロジェクトの立ち上げにも挑戦したいですね」

※ 記載内容は2024年8月時点のものです

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