シリコンバレー生まれのGlobalLogicの革新性と、株式会社日立製作所(以下、日立)の豊富なビジネス実績とデジタル技術を組み合わせて活用し、お客さまのDX推進を支援するDXデリバリ推進本部 プロジェクト推進部。協創の鍵を握るアーキテクトとして中核的なロールを務めてきた津田 敦史が、グローバルでデジタル事業を加速する同社で働く魅力を語ります。
ロボット研究から先端IT開発へ。先進的かつ実践的な日立製作所に入社
大学では機械情報工学を専攻した津田。ヒューマノイドロボットの研究過程でプログラミングの基礎を学びました。
「人間サイズの高機能ロボットを用いて、日常生活での実用化をめざす研究に取り組んでいました。プログラミングとの出会いは大学2年次。研究室では主にLISPという関数型言語を使用してソフトウェア開発のスキルを磨きました」
津田が語学学習に注力し始めたのもこのころ。学生時代から海外の学術会議で発表できる水準の英語力を身につけていました。
「当時からグローバルなキャリアを見据えていたわけではありませんが、英語の必要性を漠然と感じていました。数学や理科と違い、もともと得意な科目ではなかったからこそ目に見える形で成果に繋がる感覚があり、それが学習のモチベーションになっていました」
大学卒業後、津田が選んだのは設計開発者としてのキャリア。その中でも日立を志望したのは、社会に大きな影響を与えるプロジェクトに携われる機会があると感じたからでした。
「ロボット研究の道に進んだ最初のきっかけとなったのは映画『ターミネーター』でしたが、研究を通じて、ターミネーターと同じレベルで動けるヒューマノイドロボットの実現までの道のりの長さを実感し、より直接的に人々の役に立つ仕事に携わりたいと考えるようになりました。
研究室の仲間の多くは研究開発職の道に進みましたが、私が関心を持ったのは、設計開発からお客さまへの提案まで一貫して担える仕事。研究所ではなく、事業部門を志望していました。
日立を選んだのは、大規模なプロジェクトに参加できると考えたからです。当時の日立には、設計開発と研究所の橋渡し的な立ち位置で事業化戦略を担う部門があり、その先進的かつ実践的なアプローチに強く惹かれていました」
設計開発の最前線で磨いた、ユーザー中心の開発哲学
入社後、津田が配属されたのはITプラットフォーム事業本部のストレージシステム管理ソフトウェアの設計開発部署。そこで開発工程のほぼ全域を経験してきました。
「入社後の約2年間は開発業務に従事し、プログラミング、仕様書の作成、テストなど、ソフトウェア開発の基礎的なスキルを徹底的に磨きました。その後、コールセンターや関連会社のサポートでは解決できない複雑な問い合わせに対応する保守サポート業務を半年ほど担当しています。
さらに、アジャイル開発におけるスクラムマスターやプロダクトオーナーなど状況に応じてさまざまな役割を務め、要件定義から開発、保守まで幅広い責任を担いました」
設計開発の最前線で最先端技術の実用化に取り組んできた津田。その中で、人間中心の社会への貢献をめざす日立の開発思想を体得してきました。
「ITプラットフォーム事業本部は、日立の中でもとくに先進的なことに取り組む部署。DevOpsの実践やCI/CDパイプラインの構築など、現在では一般的となった開発手法を10年以上前から採用していました。最先端の環境で開発に携われたことは、非常に貴重な経験だったと感じています。
一方、私が一貫してこだわってきたのは、ユーザーの立場に立つことです。実際のユーザーのニーズや声に応じて製品を進化させていくことを常に意識しながら開発に取り組んできました」
そして2022年、津田は自らの意志でDXデリバリ推進本部 プロジェクト推進部へ。この決断の背景には、グローバルなキャリアへの志向と、最新技術に対する探究心がありました。
「異動を希望した理由のひとつに、海外で働いてみたい気持ちがありました。国内だけでなくグローバルな環境でも通用する自信を身につけたいと考えていたからです。
また、以前に私が携わっていた分野は確かに最先端ではありましたが、追いきれていない技術領域もありました。クラウドコンピューティングがその一例です。私たちが開発していたのは主にオンプレミス環境向けのソフトウェアでしたが、当時クラウド技術の重要性が急速に高まっており、この新しい潮流に乗り遅れないよう、自らのスキルセットを拡大する必要性を強く感じていました」
エンドツーエンドでDXを推進。グローバル協創によるプロジェクトで得た手応え
プロジェクト推進部ではアーキテクトを務める津田。お客さまの課題に対する最適なソリューションを、日立が2021年に買収したデジタルエンジニアリングのリーディングカンパニーであるGlobalLogicとともに考え出し、提供することが当部門の主な役割です。
「ビジネスの指針が定まっていない企業に対しても、お客さまとともにその方向を検討し、ソフトウェアの役割を明確にした上で、実装まで一貫してサポートします。こうしたエンドツーエンドのアプローチに、私たちの強みがあると考えています」
津田がプロジェクト推進部に着任したのは発足して間もないタイミング。プロジェクトをけん引する立場で参加し、これまでのキャリアで培った経験を存分に発揮してきました。
「着任当初は開発初期フェーズにある案件が中心で、中でも私は、あるプロジェクトでシステム構築の基盤となるアイデアの創出と実現可能性の検討に携わりました。
アーキテクトの役割は多岐にわたります。技術的な課題に対して包括的なソリューションを提供することが求められますが、開発経験やプログラミングスキル、さらにはコンピューターシステムの基礎知識など、これまでの経験が大きな強みとなっています。
また、TCP/IPといったネットワークプロトコルなどの基本的な技術知識が必要だったため、IPAのネットワークスペシャリストやデータベーススペシャリスト、情報セキュリティスペシャリスト資格を取得していました。クラウド技術の詳細については最新の動向をキャッチアップする必要がありますが、以前の部署や資格試験勉強時に習得した技術知識は現在の業務でも大いに生かされています」
その後、GlobalLogicとともに、あるお客さまのDXプロジェクトに参加した津田。アーキテクトとして協創の要となる中核的なロールを担ってきました。
「GlobalLogicとお客さまの技術的な橋渡し役として、お客さまに対して技術的説明や要件のヒアリングを行い、そこでの決定事項をGlobalLogicインドの開発チームに伝達することが私の主要な役割です。
一方で、単なる仲介役にとどまらず、システムの仕様策定にも積極的に携わってきました。自ら設計した仕様案を開発チームとお客さまの双方に提示し、フィードバックを得ながら最適解を導き出す役割も果たしています。
また、すでに実装されているアプリケーションの保守管理も重要な職務のひとつです」
国境を超えた協創の手応えを津田は次のように振り返ります。
「このプロジェクトは、設立からまだ歴史の浅いGlobalLogic Japanが日本企業との協業ノウハウを醸成していく途上のプロジェクトであり、お客さまにとってもグローバルチームとの初めての取り組みです。意思疎通や期待される品質水準などについて、当初は双方が手探りの状態で進めていました。
インドの開発チームは、会話した内容に忠実に従う傾向があります。そのため、必要に応じて補足説明や追加作業の調整を行うなど、とくに初回のリリース時はコミュニケーションに苦心しました。
しかし、難しい要望も快く受け入れてくれるなど、プロジェクトが進むにつれて、GlobalLogicとのあいだに相互理解と歩み寄りの精神が醸成されていきました。その結果、フルスクラッチ開発プロジェクトとしては日立標準の半分以下のスピードでリリースに漕ぎ着けています」
挑戦と成長の好循環。大型プロジェクトと多彩な人財が育むキャリア
10年以上にわたって日立でキャリアを築いてきた津田。同社でアーキテクトとして働く醍醐味についてあらためて次のように話します。
「日立のようなミッションクリティカルな事業に取り組む企業では、セキュリティ管理が非常に厳格です。そのため、新しい技術や手法を試す際、社内ネットワークの制約に直面することがありますし、社内でクラウドのテスト環境を構築しようとすると、予想以上に煩雑なプロセスを経なければならないこともあります。
一方で、日立というフィールドだからこそ、得られる経験や魅力があります。例えば、数兆円規模の大型プロジェクトに参画し、お客さまの幹部社員と直接コミュニケーションを取る機会があるのは、当社の規模と信頼性があってこそです。
さらに、技術的な課題に直面した際、必要な専門知識を持つ人財が、GlobalLogicを含むグループ内のどこかに必ず存在します。どんな問題も社内リソースで解決できる環境があり、同時にそういった専門家から学ぶ機会が豊富にあることは、キャリア形成の上で非常に魅力的です」
日立にしかできないデジタルソリューションを追求するために。アーキテクトの立場から、津田には未来の仲間に伝えたい想いがあります。
「日立の最大の強みは、その品質への揺るぎない信念にあります。品質に対する高い意識を持つ人財に富んだ職場は、他では得難い貴重な学びの場です。この環境で最適化をめざせることは、キャリアを築く上で大きな強みになると確信しています」
そんな津田の目標は、DXのスペシャリストとして協創の最前線に立ち続けること。めざすキャリア像があります。
「これからも一貫して技術分野に軸足を置くつもりです。マネジメントやスペシャリストなど、キャリアの方向性は多様ですが、私には現場に対する強いこだわりがあります。年齢を重ねても、何らかの形で技術に関わり続けたいですね」
※ 記載内容は2024年8月時点のものです