2023年に株式会社日立製作所(以下、日立)にキャリア入社した吉田 雄。前職での経験を生かし、電力小売事業者向け顧客管理システムの運用保守を担当し、システムの安定稼働に貢献しています。新たな環境で活躍の幅を広げる吉田が、日立で感じる仕事のやりがい、プロジェクトを通して感じる自身の成長を語ります。
素早く正確な対応を心がけ、電力小売事業者向けの顧客管理システムを構築
社会システム事業部エネルギーシステム第一本部に所属する吉田は、2023年8月の入社以来、電力小売事業者向けのCIS(カスタマーインフォメーションシステム)構築プロジェクトに携わっています。
「CISは顧客管理のためのシステムです。日立が開発した『CURSUS-BC/EE』というパッケージ型のシステムをベースにしていて、顧客情報の管理、契約申込みの受付から電気料金の計算と請求、さらには特殊な処理や会計仕訳までできるため、一元的な管理が可能になります。
CIS構築における日立の強みは、このパッケージ型のシステムを持っていること。エネルギー事業者向けCISの基盤があるため、お客さまのニーズに合わせた必要な機能を、スピード感を持って開発することができるのです」
その中で吉田が担当するのは運用保守。協力企業を含めたチームのメンバーをまとめながら、システムを滞りなく稼働させる役割を担います。
「お客さまから問い合わせがあった場合、一次調査をしてメンバーに仕事を振り分けることが私の大きな役割。私自身もその後の調査や作業を担当しながら全体の進捗管理を行い、お客さまへの報告を行います」
電力という生活に欠かせないインフラを提供するための基盤となるCIS。その規模の大きさや重要性も仕事の醍醐味。緊張感はありながらも、やりがいのある仕事だと話します。
「管理している顧客数は80万超。さらに、個人情報を多く含むデータを扱う上、支払いにもかかわるシステムですから、発生した事象に対して素早く調査し、正確な回答と対応をすることを心がけています。
こういったスピーディーな対応の積み重ねが、お客さまとの信頼関係につながるのだと思います」
裁量を持ってより良い提案をしたい──技術力とマネジメント力を伸ばせる日立へ
日立に入社する以前も、電力小売事業者のCIS開発に携わっていた吉田。転職を考えるようになったきっかけは、さらに自分の意思を持って裁量の大きな仕事にチャレンジしたいと思うようになったことでした。
「前職は、電力自由化を機に電力供給事業に新規参入した、いわゆる新電力企業のグループ会社でした。私が主に担当していたのは、サービス仕様の変更に伴うシステムへの影響分析や要件定義、基本設計などの業務。具体的には、変更内容をシステムにどう反映させるか、どこを修正するべきかを定義して、実際に開発を担当する協力会社と連携していました。
決して簡単ではありませんし、やりがいもありましたが、必要な作業を決められた期日までに完了させることを重視する部分が多く、少し物足りなさを感じるようになったのです。
自分の裁量を持ってプロジェクトやお客さまのためにより良い提案をし、成果を出すような仕事がしたいと考えるようになり、転職を決めました」
次のステージを選ぶ上で重視したことは、技術力とマネジメント力を伸ばせる環境があること。その中で、これまでの経験を生かせる日立に出会いました。
「SIerを中心にさまざまな企業の採用情報を見る中で、まさに私が取り組んでいた内容と近い仕事で募集があり、興味を持ちました。
選考の過程では、『なぜ日立を選ぶのか』ということを深く掘り下げて質問されたことが印象に残っています。私自身は、プロジェクトの内容だけではなく、会社として幅広い事業を展開していて、将来的には社会に大きな影響を与えるシステムに携われる可能性に大きな魅力を感じました」
入社したタイミングは、現在関わっているシステムが稼働し始めた直後。まずは上長のサポートをしながら、稼働後に発生した不具合に対応したり、改修リリース日をお客さまと調整したりといった仕事からスタート。その後、プロジェクト内の体制変更に合わせて、運用保守を専任で担当することになります。
「重要なデータを大量に扱うので、お客さまからの問い合わせに緊張感とスピード感を持って対応することが重要です。私は前職の経験もあり、そういった姿勢を心がけていたことで、運用保守を任せてもらうことになったのかなと思っています」
自分に言い訳をせず、相手の目線に立った指示を心がける
望んだ環境で新たな挑戦を始めておよそ1年。これまで以上にシステム開発に深く関わる中で、壁に直面することも。
「以前は、決められた期日の中で与えられた作業の品質を上げていくことを考えて仕事をしていました。けれど今は、自分が作業するだけではなく、メンバーに作業指示や依頼を出すことも増えています。その依頼の仕方がうまくいかず、期日までに求めているアウトプットが返ってこないということが続いたんです」
解決の糸口となったのは、上長からのアドバイスでした。
「『その指示で、吉田さん自身は正しく作業ができますか?』と指摘されたのです。作業するにあたって欲しい情報、必要な情報を伝えた上で、きちんとコミュニケーションをとった方が良いとアドバイスされました。
確かに、自分がプロジェクトに参画して日が浅く、理解が追いついていないことを言い訳に、曖昧な指示で作業を押しつけてしまっていたと気がつきました」
これをきっかけに、仕事の仕方を大きく変えた吉田。メンバーとのやりとりにも、自分なりの道筋を持つようになったと言います。
「まずは、ゴールを明確にすること。漠然と『情報をまとめた資料が欲しい』ではなく、『このフォーマットのこの欄に、こういう情報を入れてほしい』と具体的に指示するようにしました。加えて、必要な情報がどこにあるのか、何をいつまでに行うべきなのかといったことも伝えるようにしています。
メンバーからは『作業がしやすくなった』と言ってもらえるようになりましたし、私自身が作業指示を受ける際も、何を期待されているのかがこれまで以上に見えるようになりました」
もちろん環境が変わったことで、技術力の向上も実感しています。
「上流工程である要件定義からコーディングまで、幅広く携わることができるので、システム開発の汎用的なスキルが身につきました。現在は保守運用を担当していることもあり、不具合が発生した際に、膨大なソースコードのどこに原因があるのかを突き止める力もついてきたと感じています」
技術者一人ひとりを大切にしてくれる環境で、プロジェクト全体を率いる役割をめざす
技術力とマネジメント力を伸ばしながら、新たなやりがいも得ていると吉田は話します。
「プロジェクトチームには協力会社のメンバーも参画していますが、日立は取りまとめ役としてお客さまと向き合う責任があります。その緊張感を抱きながらも、何か一つ山を越えるたびに達成感を得られること、安定した稼働でお客さまとの信頼が深まっていくことに手応えを感じています」
また、日立が技術者の育成に力を入れていることも、安心して働ける理由の一つだと続けます。
「業界で認知されている日立独自のプロフェッショナル認定資格が用意されていたり、プロジェクトマネージャーになるための研修があったり、技術力向上やキャリアアップを支援する体制が整っているんです。
中でも心強かったのは、キャリア入社の社員に対しても働き方や悩みについてのフォローがあったこと。入社して半年ほど経った時、周りが求めている即戦力としてのスキルと現状の自分にギャップがあるのではないかとプレッシャーを感じていたのですが、『そんなに気負わなくていい』と言ってもらえたことで、自分のペースを取り戻せたことがありました。
一人ひとりを大切にしてくれるのだと感じて、自分の悩みや課題を率直に伝えられるようになりました」
その環境の中でめざすのは、もっと大きな範囲でプロジェクトを率いる役割、そして、このプロジェクトをベースとしたさらなる展開です。
「まずはプロジェクトリーダーへ。そして運用保守だけではなく、プロジェクト全体をマネジメントできるような力をつけていきたいと思っています。
パッケージ型のシステムがベースにあるからこそ、ノウハウを蓄積することができますし、他のお客さまへの提案にも応用できるはずです。その強みを生かして、より多くのお客さまに価値を提供していきたいですね」
※ 記載内容は2024年10月時点のものです