公共システム事業部 官公ソリューション第二本部 官公システム第二部の滋野 高廣と松尾 輝雄。滋野は現在、社会保障を担う法人のお客さまのシステムマイグレーションを進め、松尾も過去に関連業務に携わりました。株式会社日立製作所(以下、日立)の総合力で市民生活の土台を支え、新たな価値を生み出すやりがいを話します。
託されたのはレガシーマイグレーション。20年後の姿を描いてPoCや提案を
法人のお客さまのシステムについて、従来のメインフレームから新しいサーバーへと移行するレガシーマイグレーションを進める日立。社会保障制度の安定した運用を支えるのがミッションです。
滋野:現システムは従来型のメインフレームで動いています。しかし、今後コストを抑え、またベンダーロックイン(システム構築などで特定のベンダーに依存した結果、そのベンダー以外の製品への移行が難しくなること)を防ぐ意味でも、さまざまな企業が提供できる複数のサーバーに移し替えることが望ましいです。
これまで数十年間使われてきたシステムを新しい環境に移す作業は、容易ではありません。移行後は生成AIやビジネスプロセスモデリングシステムなどの活用を検討し、保守性や効率性を高めることが求められます。
滋野はレガシーマイグレーションの案件でプロジェクトマネージャーを務め、企画の部分などを託されています。
滋野:システムの10年、20年後の姿やロードマップを描きながら、お客さまとともに協議してきました。実際に動くシステムを作り、仮説の正しさを確かめるPoC(概念実証)も行い、実現可能性が高くて効果的なものを提案するという流れです。PoCの規模は大きく、社内外合わせて50人ほどが関わっています。
それぞれの業務において、生成AIの活用の余地もかなりあると考えています。サーバーへの移行時やテストシナリオを考える際、さらには提案資料の作成などで使用を検討しているところです。
松尾もかつてはメインフレームやデータベースなどのハードウェアシステムについて、リプレイスの設計や提案活動をしていました。
松尾:システムのあるべき姿をしっかりと抑えた上で、CPUの使用率やデータベースの格納容量などの稼働実績を分析しながら最適な構成を設計し、お客さまにご提案していました。大切なのは、社会保障の信頼性が損なわれないようにシステムとして守るべきポイントを明確にすることです。その上で費用面も含め、お客さまに納得いただけるように検討や説明を尽くしました。
また、他部署との連携にも力を注ぎました。お客さまの業務内容を可視化して課題の把握や改善につなげる取り組みについて、積み上げたノウハウを他の担当部署に横展開し、案件化にこぎつけたこともありました。
公共の仕事における最優先事項は社会保障。品質へのこだわりもより強く
2007年に日立に新卒入社した滋野は以前、金融の部門に在籍していました。
滋野:保険会社向けシステムの提案に携わり、受注後は開発のプロジェクトマネージャーを務めていました。最近の金融業界ではクラウド上でのローコード開発やノーコード開発が主流で、それらの最新技術を学び、どんどん取り込んでいくというチャレンジングな環境でした。
そこから現在の公共の部門に異動した際には、金融との違いを実感したと言います。
滋野:金融における最優先事項はお客さまの利益であるのに対し、公共は社会保障です。この点があらゆる物事を決める際に影響を及ぼし、例えばシステムの方向性を考える場合でも公共では「万人を支える」という前提で話が進みます。
品質へのこだわりも、公共はさらに一段階上という感じがします。金融でもさまざまな第三者のレビューが入りましたが、公共ではプロセスがより多く、「品質の日立」と言われるゆえんだと感じています。
松尾は2013年に新卒入社。社会保障関連の仕事を経て、今はDXグループの一員として新規開拓プロジェクトを任されています。
松尾:現在、メインで関わっているのは社会福祉の領域です。福祉の現場で働く方々が効率よく業務を進められるソリューションを開発するため、事業計画を整理しているところです。
コロナ禍などをきっかけに生活困窮者が増え、社会福祉団体などへの相談件数が増加傾向にありながら、現場は対応しきれていません。また、市民生活の多様化に伴って相談内容が複雑になってきていることもあり、さまざまなニーズに対応する必要があります。そこで、AIを活用して音声の相談内容を自動的に記録・要約したり、相談者への対応方法をレコメンドしたりする機能の導入など、相談者に寄り添い伴走するためのソリューション開発を検討しています。
また、生活困窮者に対応している団体の業務をサポートするため、日立グループのGlobalLogicの日本法人との協業も進めている最中です。同社のデザイン力を生かしながらグループワークやディスカッションを重ね、業務プロセスの可視化などに取り組んでいます。
ナレッジ共有の仕組みに加え、意思決定の早さ。心強い日立の「総合力」
現在進めているプロジェクトを通じて、滋野は日立という会社の「総合力」に心強さを感じていると話します。
滋野:レガシーマイグレーションは多くの専門知識が必要な領域ですが、社内のナレッジを共有できる仕組みがあるのでとても心強く感じています。日立のデジタル技術を活用したソリューション「Lumada」の一環で、さまざまなサイトのマイグレーション事例が集められているんです。それを生かし、効率的に提案プランを作ることができています。
また、会社全体として意思決定が早いことは、品質に並ぶ日立の強みではないでしょうか。PoCではアサインすべき各分野の専門家をいち早く集め、機器を素早く入れることができるほか、ツールの開発に投資する際にも、会社は認可をスピーディーに進めてくれます。
松尾は社会保障関連の仕事を振り返り、リーダーとして提案活動を1年間続けた末、無事に受注したある案件が印象深いと語ります。
松尾:お客さまからハードルの高い要望を受けることもしばしばありました。でも、そのたびに「できません」と諦めるのではなく、本当にできないのか、何か突破口はないのかなど、あらゆる可能性を考えた上で結論を出すように徹底しました。そうした姿勢がお客さまにも伝わったのか、徐々に私を信頼して向き合ってくださるようになったのを覚えています。
社内に向けては、ピリピリした雰囲気にならないようにリーダーとして明るくふるまい、メンバーの心理的安全性を保つように心がけていました。メンバーが業務や悩みを抱え込むことがないよう、積極的に話しかけて状況を把握し、最終的にみんなで知恵を出し合って前進していく。そんなやり方を貫いた結果、受注に至った時には大きな達成感がありました。
多様な分野をつなぎ、グローバル目線で今までにないサービス、社会づくりを
プロジェクトの今後を見据える滋野は、自身の想いを込めてこのように話します。
滋野:変化に強く、市民の皆さんがよさを実感できるようなシステムにしていきたいです。例えば年金や銀行預金、保険、その他の金融商品を合わせて一元的にお金を管理できる未来になれば、ライフプランを立てやすくなり、生活はより便利になるはずです。公共や金融、産業などの各分野の関係者が手を取り合って一連のサービスとして展開できるように、私は官民の連携促進の手助けをしたいと思い描いています。
最終的には私がリタイアした頃に、「あの時の仕事が今の暮らしやすい社会につながっているんだな」と実感できたらうれしいですね。
松尾は自らの未来に想いをはせ「挑戦する仲間を増やしたい」と言葉に力を込めます。
松尾:将来的には各事業部の垣根を超え、さらには他社とも協業しながら事業をおこせないかと考えていて、スマートシティなどにも関心があります。将来予測が難しい時代にあって、どんな社会になるといいのか、日立としてどう貢献できるのかを、一緒に視野広くディスカッションし、挑戦する仲間を増やしていきたいです。
日立で働く魅力ややりがいを語る時、2人は「純粋な楽しさがある」と口をそろえます。
滋野:当社のすべての事業が社会課題のど真ん中を扱っていて、自分の頑張りで解決に貢献できます。その中で、理想の将来像と合致するようなアイデアを思いついた際には大きなやりがいを感じますね。
また、何かに挑戦したいと手を挙げれば上司が社内の専門家を紹介してくれるなど、バックアップもしっかりしている会社です。日立は事業の幅が広いので、各分野の専門家の話を聞くのは純粋にとても楽しく、仕事の選択肢も一気に広がります。
松尾:多様な分野で事業を展開する会社だからこそ、新たなシナジーや価値が生まれやすいのではないでしょうか。
社会保障や金融、産業、エネルギーなど一見関連がなさそうな分野を結びつけ、日立の海外拠点とも連携することで、グローバル目線で今までにないサービス、社会を築いていけると感じています。スケールが大きく、ワクワクするようなことにチャレンジできるのが日立の魅力です。
※ 記載内容は2024年10月時点のものです